👼と♨️が2020年の音楽を楽しく振り返る回 - 👼と♨️のᎩuКꂅოuᏒᎥ լᕱც

まず最初にこの曲をライヴでやった時は全部即興だったんだ。そのライヴの録音を切り刻んで作った音源をベースに、また別のバンドとライヴで、即興でやって、（中略）だからあの曲は4、5回のセッションからできたもの。しかもレコーディング前に複数回ライヴで観客を前にしてやってる。何がうまくいって何がダメか知るためにパフォーマンスをマーケット調査のように使うことがあるんだよ

つまり、彼は曲づくりのプロセスにライヴパフォーマンスを据えることで、即興演奏とポスト・プロダクションがまるで振り子のような関係になっているんですね。

👼なるほど、本作が生演奏の部分もそうでない部分も等価に肉体性を伴って響いてくるような感じがするのはおそらくそういった創作のプロセスによるところが大きいのかもしれませんね。下の記事でも、「トータスのようなポスト・プロダクションの要素と肉体的な要素が、かなり高次元で混ざっている。」と書かれています。

カッサ・オーバーオール（Kassa Overall）はジャズ × ヒップホップの革命児だ。TAMTAM高橋アフィが徹底解説 | Mikiki

♨️トータス！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

👼声でかっ...びっくりした...

Tortoise『TNT』にめちゃくちゃハマる

♨️でも、まじで今年いちばんの衝撃ってTortoise『TNT』だといっても過言ではないんですよね。どうやら元々有名なバンドだったみたいですが...

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Tortoiseの「TNT」をApple Musicで

https://tortoise.bandcamp.com/album/tnt

👼Tortoise『TNT』は1998年にリリースされた彼らの代表作ですね（はやくも全然2020年の作品ではなくなってしまいましたが笑）。アルバムの完成度だけでなくその制作方法にも注目が集まった作品で、試しに当時のサンレコのレビューを読んでみると次のように書かれています。

リットーミュージック雑誌バックナンバー目次一覧：サウンド＆レコーディング・マガジン＞1998年03月号

レコーディング、リミックス、編集といった作業すべてが曲作りそのものになるような形で、10ヶ月もの期間を費やしてハード・ディスク・レコーディングされた本作は、大胆というよりはむしろ繊細なアレンジと構成が印象的だ。新たに導入されたストリングス、ウッド・ウィンド、ブラスといった楽器群や、サポートから正式メンバーになったジャズ畑出身のジェフ・パーカー(g)のプレイなどにより時として往年のカンタベリー系を思わせる曲もあるかと思えば、サントラ調〜ジャーマン系〜最近のステレオラブにも通じるソフト・タッチのドラムンベース等と、バラエティに富みつつも一貫した感じをノン・ストップ感覚で仕上げている。

♨️要するにハード・ディスク・レコーディング(HDR)を用いることでアルバム制作全体にポスト・プロダクションを導入し、見事大成功したのが彼らなんですよね。

👼ちなみに今年の2月にはなんと来日公演もあったようで、それについてはこちらのブログ記事が面白かったのでぜひ読んでみてください。

ライブ感想 Tortoise / Performing ''TNT'' & Greatest Hits ～『TNT』とは？ - WITHOUT SOUNDS

♨️個人的には「バラエティに富みつつも一貫した感じをノン・ストップ感覚で仕上げている」という点がけっこう良さのポイントな気がしてて、その共通点で繋げて考えられそうなのがdraag me『i am gambling with my life』です。

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draag meの「I Am Gambling With My Life」をApple Musicで

https://draagme.bandcamp.com/album/i-am-gambling-with-my-life

👼draag meに関してはもはや「ノン・ストップ感覚で仕上げていることでギリギリ一貫性を保ってる」という感じですよね。“chillwave, rap beats, punk, and more”とpitchforkにもありますが、chillwaveっぽいサウンドだと思っていたら急に不穏な雰囲気に変わってハードコア・パンクが鳴り響きだしたり予測のつかない展開が作品の魅力になっています。

♨️そういえば、批評家の伏見瞬がOPN『Magic Oneohtrix Point Never』（MOPN）について語った記事で、MOPNについて「楽曲の断片性と壊れたラジオの持続性が両立する」と表現していました。

rollingstonejapan.com

この言い回しはわりとdraag meの作品にも通用するところかなと思いますね。断片的なビートが楽曲・アルバムという持続性によって繋ぎ合わされるという...

👼そういったところだと、例えばlogin『bitzer』も見事でしたよね。音の抜き差しやエフェクトの使い分けにもすごくセンスを感じさせられました。

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loginの「Bitzer」をApple Musicで

♨️あとぼくはこちらの作品にもそういったセンスと共通するものを感じましたね。

www.shonenjump.com

ポケットモンスター　長男／次男

👼チェンソーマンですね。もはや音楽でもないという笑

♨️でもめちゃくちゃ面白いじゃないですか...

👼チェンソーマンはTwitterでもすごく話題になってましたよね。いまの週刊少年ジャンプって定期購読をしてる人なら毎週月曜日深夜0時には最新号が読めるのですが、毎週最速で最新話を読んではTwitterに感想を書き込む人が多すぎて、うっかりTwitterを開くとネタバレをくらいかねないという事態に陥っていました。

♨️ネタバレにはまじで気をつけないといけない...で、なんでこんなにも話題になってたかって、まずひとつは物語の展開のヤバさですよね。かなりの頻度で衝撃的なシーンにぶちあたり、そのたびに読者のみんなが興奮すると。

👼個々のシーンについては言及できないですけど、単行本９巻からはあまりにも辛い出来事が立て続けに起こりましたよね...

♨️しかもそのショッキングな出来事に対して読者側がぜんぜん受け身とれないんですよね。で、自分なりになんでこんなに衝撃を受けちゃうのか考えてみたんですけど、おそらくコマとコマの飛距離の長さがあると思うんですよ。Twitterでも次のようにツイートしてますが...

チェンソーマンは普通ならコマを複数使ってAからBまでのアクションを描くようなところで一気に一コマでAからBまでジャンプしてしまうところがあるんだよな...動きではなく絵を魅せたがっている...
— ♨️ (@ngo750750750) 2020年11月10日

👼たしかに読んでると時々見開きでびっくりするほど事が進んでますもんね。見せ場で「ドーン！」とやりたい作者の欲望がここで垣間見えるというか...

♨️で、ぼくが重要だと思うのは、そのショッキングなシーンのときってなによりも主人公自身が呆気にとられちゃってるんですよね。さっき読者の受け身のとれなさって言ったけど、ほとんど主人公もまったく受け身がとれてない笑主人公が読者と同じ立場になっちゃってる。

👼あー、なるほど...それって例えば鬼滅の刃の竈門炭治郎とは対照的ですよね。

♨️竈門炭治郎は長男だからね。その点デンジくんは次男坊だから...

👼なるほど...笑

♨️で、ぼくはそこらへんの違いってもしかしたらドゥルーズ『シネマ』あたりにも繋がってくる問題のような気がするんです。というのも最近こちらの本を読んだからなのですが...

filmart.co.jp

これについてはそのうちブログで取り上げられたらと思っています。

Bandcamp Friday

👼Twitterでの盛り上がりといえばBandcamp Fridayも外せないですよね。

avyss-magazine.com

新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、公演などが中止になり、収入が減少したアーティストを支援するプロジェクト「Bandcamp Fridays」は今年3月にスタートした。通常Bandcampでは、デジタル音源の売上から15%、Tシャツなどのマーチャンダイズは10%の手数料を取っているが、このキャンペーンが行われる24時間の間は、その手数料分もアーテイストやレーベルに全て還元されるというもの。

♨️めっちゃ盛り上がりましたよねBandcamp Friday。コロナ禍のなかで数少ないポジティブな取り組みのひとつでした。（というか最新情報では来年の5月まで延長（2月5日、3月5日、4月2日、5月7日に開催）されるようですね）

👼それと6/19にはアメリカ全土で巻き起こるBlack Lives Matterの運動を受け、売り上げの全額を寄付する取り組みもありました。

fnmnl.tv

♨️BLMといえば、こちらの書籍が面白かったですね（まだ読みかけですけど...）。

www.ele-king.net

これ、Moor Motherが表紙っていうことで買ったんですが、巻頭で黒人の音楽評論家であるリロイ・ジョーンズ（アミリ・バラカ）の言葉が印象的に使われててそれがめちゃくちゃかっこいいんですよね。そう思ってたらなんとこの本を買って数日後に寄った古本屋で偶然この人物の書籍が売られてるのを見つけまして。即行で買ってしまいました。

別冊ele-kingで紹介されてて最近気になってたリロイ・ジョーンズ（アミリ・バラカ）の『ブラック・ミュージック』をさっそく古本屋でゲットできたのが本日のハイライト...... https://t.co/5EEk28NTyy pic.twitter.com/7DZ1N8fLPm
— ♨️ (@ngo750750750) 2020年9月19日

以前購入したまま積読になっている野田努『ブラック・マシン・ミュージック』と併せて早く読まないといけない一冊ですね...

👼なるほど、とにかく読んでない本がたくさんあることが大変よく伝わってきました。

多作にも程があるMoor Mother

♨️しかし、別冊ele-kingでのインタビューでも指摘されていましたが、Moor Motherの今年の多作っぷりには目を見張るものがありましたね。

👼Moor Mother ──ムーア・マザーの勢いが止まらない | ele-king

ムーア・マザー名義で知られるCamae Ayewaは、あのアルバム以降、メンバーとして参加しているフリージャズ集団Irreversible Entanglementsのアルバム『Who Sent You? 』を発表、Mental Jewelryとの共作、パンク的展開の『True Opera』のリリース、電子音響家Yattaとの共作『Dial Up』……、そしてジャズ系フルート奏者Nicole Mitchellとのライヴ盤『Live at Le Guess Who』を発表したかと思えば、先月はゲスト参加したNYのヒップホップ・グループ、Armand Hammerのアルバム『Shrines』がリリースされたり、今月に入ってからは『FREE JAZZ FOR THE FREE DOOMED』と、コロナ禍において毎月のように彼女絡みの新作を聴いているような気がする。

これだけ多いとチェック仕切れてない人も多そうです。(FREE JAZZ FOR THE FREE DOOMEDは現在bandcampから姿を消している)

♨️Moor Motherはビートもそうだけどなによりも声が大好きなんですよね。彼女のドスの効いた魔術師のような声そのものが痺れるような音楽体験になっていて、聴いてると限りなく失神に近い覚醒といった感覚になります。これなんかとんでもなかったですよね。

moormother.bandcamp.com

それとArmand Hammer『Shrines』での共演がきっかけで誕生したMoor Mother & billy woods『BRASS』も素晴らしかった。

backwoodzstudioz.com

Pink Siifu『NEGRO』

👼Moor MotherはLAのラッパーPink Siifu『NEGRO』にも客演で参加していましたね。これも凄い作品だった...

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ピンク・シーフの「Negro」をApple Musicで

https://ronee.bandcamp.com/album/negro

♨️Pink Siifu『NEGRO』については、このブログの序盤でKassa Overallを解説していたTAMTAM高橋アフィも次のようにツイートで絶賛していました。

bcより。今頃知ったけど今年ベストの一つでは！
ヒップホップとハードコアとノイズとフリーとジャンクが入り混じったエネルギーの塊。まったく聴きやすくは無いけれど、音楽の強さと凄みが素晴らしくて◎！この曲時間も展開も3曲分だな（基本1分
Pink Siifu / ON FIRE, PRAY! https://t.co/DpID9Ki34x
— 高橋アフィ（TAMTAM) (@Tomokuti) 2020年7月31日

そして、Spotifyでは本作をリリースするにあたり彼がインスパイアされた音楽をプレイリストで公開しています。Ras GやSun Ra、Bad Brains、Zeroh、Ho99o9、Liv.eなど大御所から交流のある周辺アーティストまで網羅されていて大変興味深い内容になっていますね。

NEGRO, inspiration on Spotify

👼あとはこちらのインタビューも参考になりましたよね。

hypebeast.com

♨️これ、インタビュー中にはマスタリングを担当したZerohのことが触れられていますね。そういえば彼が今年出したアルバムにも心底度肝を抜かれました。

Zeroh "BLQLYTE" album release @LeavingRecords
LA出身のラッパー兼ビートメーカー: Zeroh (ゼロ)のアルバムがLeaving Recordsよりリリース @_zeroh https://t.co/gBNWasjyJ1
— Stones Throw Japan (@StonesThrowJP) 2020年4月29日

BLQLYTE - Album by Zeroh | Spotify

https://horez.bandcamp.com/album/blqlyte

Zeroh『BLQLYTE』とLAの音楽シーン

👼Zeroh『BLQLYTE』、Matthewdavid率いるLeaving Recordsからのリリースですね。Matthewdavidといえば、いまどっぷりニューエイジ音楽にハマっているようで、今年もこんな作品をリリースしています（ニューエイジといえば、今年は『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』なるものがリリースされ話題を集めましたね。）

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https://matthewdavidmcq.bandcamp.com/album/care-tracts

♨️Abletonによる2016年のインタビューでは「新しいニュー・エイジについて語る」というタイトルで、M Geddes Gengras、Carlos Niño、Laraajiを紹介していました。

www.ableton.com

Carlos Niñoといえば『Jazz The New Chapter 6』でのインタビューがすごく面白かったですね。

www.shinko-music.co.jp

👼このくだりのデジャヴ感たるや...

♨️でも実際面白かったんですよね。インタビューの前文では「LAのスピリチュアル・ジャズのコミュニティを再提示し、ビート・ミュージックのシーンが生まれる土壌を作り、ニューエイジにのめり込んだ。」とありますが、Zeroh『BLQLYTE』はまさにそういった系譜から育まれたまったく新種の音楽といった感じがあります。

👼これ、たしかに聴いてても凄いことは分かるけど何の理屈で作られてるのかさっぱり分かんないですよね...ぜひ誰かに解説して欲しいものですが...

♨️音響芸術としか言いようがないですよね。サウンドデザインが快楽的すぎる。そして、そんな技術が買われているのか、Pink Siifu『NEGRO』含め今年気に入った作品をみると彼がマスタリングを務めているパターンがいくつか見当たりました。

Liv.eの「Couldn't Wait to Tell You...」をApple Musicで

https://o-liv.bandcamp.com/album/couldnt-wait-to-tell-you

open.spotify.com

RPBGVの「Bodygizer」をApple Musicで

https://rpbgv.bandcamp.com/album/bodygizer

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Caleb Gilesの「Meditations」をApple Musicで

https://calebgiles.bandcamp.com/album/meditations

👼なるほど、Liv.eとRPBGVはテキサス州のレーベルDolfin Recordsのミュージシャンで、Caleb Gilesは過去にStanding On The Cornerにも在籍していたNYのラッパーですね。ここ周辺のシーンはミュージシャン同士の様々な交流とともに現在進行形でかなり盛り上がっているので今後とも注目していきたいところです。

Solange『When I Get Home』参加ミュージシャンらの活躍

♨️さて、先ほどちょっとBLMの話題が出ていましたが、そこでいうと今年の大阪なおみはまじでかっこよかったですよね。

www.bbc.com

で、その流れでぜひ見てほしいのがこちらのCMです。

youtu.be

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ほら立ち姿かっこよすぎません？このCM、映像ディレクターを務めたのはBeyoncé『Formation』なども担当したMelina Matsoukasで、音楽を担当したのがあのSolangeです。ちなみにSpotifyによるとぼくは今年めちゃくちゃSolangeを聴いていたみたいです。

ぼくは今年Spotifyでソランジュをよく聴いたリスナーの上位0.05%以内に位置しています pic.twitter.com/w6SO46bp8y
— ♨️ (@ngo750750750) 2020年12月2日

👼Solange『When I Get Home』については前回のブログでも取り上げましたよね。2019年リリースの作品ですが今後もしばらくは聴き続けることになりそうです。

ngo750750750.hatenadiary.jp

♨️そして、今年は『When I Get Home』に参加したミュージシャンがそれぞれ素晴らしい新曲や新譜をリリースしましたね。

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Standing On The Cornerの"Angel"をApple Musicで

https://standingonthecorner.bandcamp.com/track/angel

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John Carroll Kirbyの「My Garden」をApple Musicで

https://johncarrollkirby.bandcamp.com/album/my-garden

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Chassolの「Ludi」をApple Musicで

https://chassol.bandcamp.com/album/ludi

なかでも今年のChassolは（全く実現しなかったものの）お笑い芸人のジャルジャルとのコラボでも注目を集めましたよね。

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👼いや、ほとんど♨️さんが勝手にTwitterで盛り上がってただけじゃないですか......

ジャルジャル with Chassol

♨️ジャルジャルといえば今年はキングオブコントの優勝でも話題でした。

ジャルジャル、ネタのタネが花開いた！しつこく挑み続けて王者に「KOC」優勝会見（会見レポート） - お笑いナタリー

しかし、ぼくが好きなのはなんといってもM-1グランプリ第13回（2017年）大会での「変な校内放送ゲーム」と第14回（2018年）大会での「国名分けっこ」です。

youtu.be

👼ジャルジャルのゲーム漫才シリーズですね。たしかにこれは面白かった。

♨️そして、なにを隠そうChassol『Ludi』でのテーマも「ゲーム」。ここにまずひとつ共通点があるんですね。『Jazz The New Chapter 6』でのインタビューにそこらへんのことが詳しく書かれていました。

www.shinko-music.co.jp

👼何回そのリンクを貼るんですか...

♨️で、このインタビューのなかでChassolは「同じ映像を反復させていく中でコードを変えることに面白さを感じていて、同じ映像を見るたびに毎回違う何かを感じさせるような表現に関心がある」と述べています。

👼ふむ。

♨️その視点でジャルジャルの『国名分けっこ』をみてみると、例えば「アルゼンチン」というワードをとってみても「アル/ゼンチン」と区切るか「アルゼン/チン」と区切るかで大きく音の響きが変わっていてそれがゲームの強い魅力になっているんですね。同じワードでも区切りによって違うものを感じさせるような表現になっている。つまり、Chassolが同じ映像でコードを変えるのと似たようなことをしてるんですよ。だから絶対Chassolもこの表現に興味をもつと思うんです。

👼なるほど...

♨️ということで、もしぼくが年末ジャンボを当てて大金持ちになったらこれを絶対イベントとして実現させますので、みなさんその際はぜひライブ会場に足を運んでください。

ポスト・プロダクションを強いられたライブ配信

👼これはぜひ実現してほしいところではありますが、そもそも今はコロナ禍のせいでライブ自体の実現もなかなかできない状況にありますよね。

♨️そんななかで注目を集めたのがZAIKOやTwitchなどのサービスを利用したライブストリーミング/ライブ配信での無観客ライブでした。

👼でも今年のライブ配信の流行は同時にその問題点も浮き彫りにしましたよね。前回の記事でも指摘しましたが、本来その場だけの生の音楽体験として楽しまれていたものが、ライブ配信だとパッケージングされた音楽作品として認識されるようになってしまった。

♨️しかし、同時にこうした状況に対する問題意識がかえって様々な工夫のなされたユニークな配信イベントを生み出したともいえます。どのようにして観客に「いま、ここで」すごいことが起こっているんだと思わせられるか。ライブ体験そのものがポスト・プロダクションされる必要が出てきたんです。

👼そうした動きのひとつ象徴になったものがトラヴィス・スコット『Astronomical』でしたね。

Travis Scott and Fortnite Present: Astronomical (Full Event Video)

youtu.be

♨️いやー、面白かったですよねこれ。音楽イベントが終わった直後に普通に元の殺し合いが始まって秒で撃たれたのもいい思い出です...

👼そして当ブログとしては取り上げないわけにいかないのがMaison book girlですね。彼女たちは6/24の『Solitude BOX Online』を皮切りに、8/11『孤独な箱で』、11/5『6irthday』と次々にライブ配信を成功させました。『Solitude BOX Online』については以下の記事でも取り上げましたね。

ngo750750750.hatenadiary.jp

♨️「時空を飛び越える芸術」とブログのタイトルにもつけましたが、3公演の告知のツイートにもはっきりと場所と時間に対する問題意識が滲み出ていました。

ライブ見にきてくださいじゃなくて、そっちに行ってみます、絶対見てて https://t.co/7Rjj0WkZoI
— コショージメグミ(仮称) (@COSHOTaaaaN) 2020年6月19日

2020年8月11日開催
Maison book girl、無観客配信LIVE
「孤独な箱で」

過去、否定、明日、混沌。
ひとりぼっちのあなた。
そこに、メゾンブックガールは、います。

チケット販売中https://t.co/JNT7kjpAT1 #ブクガ pic.twitter.com/xOklyvXYow
— Maison book girl (@maisonbookgirl) 2020年8月1日

2020年11月5日開催
Maison book girl、無観客配信LIVE
「6irthday」

誕生の瞬間から、きっと違う世界で。
あなたと混じり合うその可能性。
六回目の崩壊と再生。
今どこにいますか、メゾンブックガール。

視聴コード付グッズ販売中https://t.co/DMUXjKdcnB #ブクガ6irthday pic.twitter.com/NpdCfppPOJ
— Maison book girl (@maisonbookgirl) 2020年10月30日

👼ブクガの場合、配信イベントにおいてもいかに現実の時間と空間から離れたところに（ファンも含めた）自分たち固有の表現の場を立ち上げるかに全力が注がれていて、そこが彼女たちの公演を特別なものにしていましたよね。

♨️そもそも、聴いてる人たちを別の時空に連れ去るのが元々の音楽の大きな役割ですからね。

👼ああたしかに。

♨️で、それはライブ映像をただ配信で流すだけではほとんど不可能ってことだと思うんですよ。そこで必然的にポスト・プロダクションのようなものが要請されると。もっというと、それって音楽を録音作品としてつくるときにも同様だと思うんです。ここで、「音楽が録音作品として落としこまれる際に失われてしまうものを補完する役割としてポスト・プロダクションが要請される」という仮説が立てられます。モーリッツ・ソメ『ポピュラー音楽のジャンル概念における間メディア性と言説的構築——「ジャパニーズ・シティ・ポップ」を事例に——』ではポピュラー音楽の「間メディア性」に焦点が当てられていましたが、もしかしたらそこらへんも関連して考えられるかもしれません。